こんな時、どうしますか?
昔のお話し、24歳くらいの頃でした。
実家に帰省して、街に買い物に出掛けた時の事。
向いから歩いてきた野球少年のような中学生に声をかけられた。
「すみません・・帰るのにバス代がなくて、貸してください」と。
え、そうなの?それは大変だ!と思い
「いくら掛かるの?」「どこまで帰るの?」と聞いた。
すると少年Aは
「えっと130円。〇〇まで帰りたい」と言った。
私はお財布を出して、小銭入れを覗いた。
その中に500円玉を見つけ、余分にあった方がいいかと
「じゃあ、500円で」と言って、少年に渡した。
少年はお金を受取ると、ペコリと頭を下げ、来た方向へ急いで走り去った。
引き続き、歩いていくと十字路にさしかかった。
その横道の向うの方に、先程の少年が2,3人の違うタイプの少年と
屯しているのを見かけた。
その十字路を過ぎて歩きながら、ふと頭を過った。
あれ?友達いるんだ?
何か妙な予感が頭を離れず、いや待てよ?
友達に130円のバス代くらい借りれないもの?
っていうか、彼は貸してくださいって言ったけど、
どうやって、私に返すんだ??
ずいぶん先まで歩いたけど、ソワソワが無性に止まらなくなり、
引き返してみた。
そして、再び少年を発見!
真面目そうに見えた坊主少年は、他の長髪の少年と楽しそうに、
な、な、なんとアイスクリームを買っていた!
ガーーーーン!騙されたぞっっ
人の親切心を踏みにじりおって・・・なんたるショック
二十歳を過ぎた大人が、中学生にまんまと騙された~
悔しい思いを胸に、私は少年に近づいた。
そして笑っている少年の肩を、チョンチョンと指でつつくと
彼は振り返った。
そして、私は咄嗟の一言を放った。
「お釣り返して」
と、手のひらを上にして頂戴のポーズを決めていた。
少年は、びっくりした顔をして慌てて
「いや、残ったお金で帰ろ・・・」
私はかぶせ気味に
「アイスはご馳走するから、お釣りは返しなさい」と
冷静な口調で言った。
周りの友人は、バレてやがるといった風に嘲笑っていた。
少年は恥ずかしそうにポケットから小銭を出して渡した。
その瞬間に、私は少年の腕を掴んで
「もう、こんなことしちゃ駄目だよ」と真剣に訴えてしまった。
あんな真面目そうな少年が人を騙してお金をくすねるなんて、
しかも、それを真に受けたバカな私が情けない。
でも、後から考えたら、けっこう笑える実話かなと思った。
あーあの少年が、少しでも改心してくれているといいんだけどな。